『魔神英雄伝ワタル』は1988年にスタートしたTVアニメシリーズです。
テレビでは計3シリーズのほかに、OVA、ラジオドラマ、ゲーム、漫画、小説と幅広く展開されており、最近ではWebで『魔神英雄伝ワタル七魂の龍神丸』が配信され、その後総集編が劇場公開されました。
作品に登場する魔神のプラモデルも人気で、いまでも新作が発表されています。
そんな『ワタル』ですが、自分も含め、時代を経ても支持されている理由について考察してみました。
自分語り多めになるかと思いますがご容赦ください。
魔神(ロボット)人気について
まずは『魔神』について。
魔神ってのは、端的に言えばロボットのことです。
ワタルの乗る龍神丸はワタルが作った粘土細工に龍の魂が宿ったものなので、ロボットなのかどうかは疑問もありますが、そこを深く考える意味のある作品ではありません。
今にまで続くワタル人気再燃の火をつけたのはロボット要素でしょう。
『ワタル2』と『超ワタル』の間が6年半、それから12年経って『七魂の龍神丸』が始まります。
『ワタル2』の後の6年半は空白ではなく、OVAや数本のラジオドラマシリーズ、小説『虎王伝説』『虎王伝』などがあり、キャラ人気はずっと続いていたと考えていいと思います。
それが『超ワタル』を境に一度途切れます。
もちろんファンがいなくなったわけではないでしょうが、世間的にはいったん火は消えたのです。
また別の機会に語りたいと思いますが、『超ワタル』は黒歴史とも言われており、既存のファンを落胆させ、新規ファンの獲得にも失敗しました。
元々下火ではあったので、続編を作ろうという勢いは一度完全に絶たれてしまいました。
それを再燃させたのが『魔神』人気です。
正確な時期はわかりませんが、『超ワタル』が終わって数年経ってから、『ワタル』『ワタル2』放映時に売られていたロボットのプラモデルのプレミア価格での取引が目立ちだしました。
それに目を付けたおもちゃ会社が再販や新作を売り始めます。
『スーパーロボット大戦』にも採用されました。
そして、「いろんな龍神丸が出るアニメ作ったらもっと売れんじゃね?」的な発想で始まったのが『七魂の龍神丸』企画でしょう(妄想)。
2023年現在、新作の発売はまだ続いています。
キャラ人気について
さて、本題はここからです。
ワタルが他のロボットアニメと一線を画したのはなんといってもキャラ人気です。
一言で言えば、ショタです。
少年好きのお姉さまが熱中したわけですね。
主人公のワタルは元気で素直なわかり易い少年です。
救世主としてロボットに乗って戦うヒーローなのですが、どこか抜けたところもあって『おもしろかっこいい』を体現していました。
仲間にシバラク先生という保護者的な人と、妹的なヒミコの存在がワタルの少年らしさを際立たせていたのではないかと思います。
ワタルも高い人気を誇りましたが、一番は虎王でしょう。
ショタではない私も虎王は好きでした。
ラスボス・ドアクダーの息子でありながらワタル達と仲良くなる。
ライバルであり、友だち。
性格もカラッとしてますし、強さもあってかっこよかったのです。
虎王が受けたのはその純粋さではないかと思っています。
ワタルは一般的な小学生ですが、虎王は浮世離れした分純粋さが際立ちます。
王子様なので態度は生意気ですが、根本的には素直です。
ヒミコを面白いから「俺様の嫁にしてやる」と言いその関係は続きますが、いかにもままごとで恋愛感情は感じさせません。
むしろ他の恋愛要素を排除できたので、お姉さまたちは安心してワタルとの友情に熱狂できたのではないでしょうか。
他にも、随一の二枚目なのに鳥の姿の方が人気があって人間に戻れないクラマや、ひねくれやんちゃ系の海火子なども人気がありました。
そんなキャラ人気があったため多くの二次創作が作られ、ワタルワールドは公式、非公式共に広がっていったのです。
私にとってワタルが忘れられない作品になったのはそのためでしょう。
2歳上のいとこのお姉さんに見せてもらった、アンソロジー本が決定的な一撃だったと思っています。
「なんじゃこりゃ。こんな世界があったのか」って感じです。
(あ、本屋にも売ってる健全なアンソロジーですよ)
それまでの私にとっては公式と自分が作り出すものがすべてで、アニメを見ておもちゃを買って遊ぶ、で完結した世界でした。
その世界が、他の人の作った世界を知って広がったのです。
奇しくも、始めて魔境アニメイトに行ったのもこの時期です。
アニメ雑誌というものの存在を知ったのもこの時期です。(アニメディア派でした)
アニメの世界が広がり、補強されていくという初めての経験が、深く心に焼き付いたのだと思います。
なので、私がオタクの道に踏み込んだのはいとこのお姉さんのせいです。
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