近日、厚生労働省の人口動態統計により、5類移行後1年間の新型コロナウイルスによる死者数が3万2576人であったことが報じられました。この数字は「インフルエンザの約15倍」と比較され、あたかも深刻な事態が続いているかのように報道されています。
しかし、この報道には重要な問題点があると考えられます。
インフルエンザとの比較は適切か?
まず、新型コロナウイルスをインフルエンザと比較すること自体に疑問を投げかける必要があります。
両者は全く異なるウイルスであり、単純な死者数の比較には意味がありません。このような比較は、不必要に新型コロナウイルスの危険性を強調する意図があるのではないでしょうか。
より適切な比較対象を考える
新型コロナウイルスの本質を考えると、むしろ一般的な風邪のウイルス(コロナウイルスやRSウイルスなど)との比較が適切だと考えられます。
しかし、ここで大きな問題に直面します。風邪による死亡者数の正確な統計が存在しないのです。
なぜでしょうか?
それは、風邪という病が特定の病原菌によるものではなく、無数の特定されないウイルスによる症状の総称であり、症状も軽いので軽視されているからです。
風邪に続発する肺炎などの合併症で亡くなったケースでも、風邪に起因する死亡者としてカウントはされません。
肺炎死亡者数から見える実態
ここで注目すべきは、日本の年間肺炎死亡者数です。
実は毎年7万人以上の方が肺炎で亡くなっています。この数字は、今回報告された新型コロナウイルスの死者数の2倍以上です。
ここでひとつの仮説が浮かび上がります。
従来であれば「肺炎による死亡」や「衰弱による死亡」とされていたケースの一部が、新型コロナウイルス検査の普及により「新型コロナウイルスによる死亡」とラベリングされているだけではないか?
つまり、実質的には同じような経過で亡くなっているケースでも、新型コロナウイルス陽性という事実があるだけで、異なる扱いがなされている可能性があるのです。
結論:より冷静な分析の必要性
この死者数の報道は、以下の点で再考が必要です。
- インフルエンザとの不適切な比較を避け、より本質的な比較対象を検討すべき
- 従来の肺炎による死亡との関係性をより詳細に分析する必要がある
- 単純な数値の比較ではなく、死因の分類方法自体を見直す必要がある
新型コロナウイルスが社会に与える影響を正確に理解するためには、センセーショナルな数値の比較ではなく、より深い分析と冷静な議論が必要ではないでしょうか。
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