【2025年版】損をしないために!年末調整の保険料控除申告書の書き方完全ガイド

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年末調整の提出書類の書き方や入力方法に困っていませんか?

年の瀬が近づくと、会社から配られる年末調整の書類を見て、憂鬱になる方も多いのではないでしょうか。

年に一度きりのことですから、「どう書けばいいんだっけ・・・」と毎年頭を悩ませる方も多いことでしょう。

特に多くの保険に加入している方にとっては、『保険料控除申告書』が年末調整最大の難関と言えるかもしれません。

記入欄がたくさんあって、専門用語も並んでいて、どこに書けばいいのか、どの金額を書けばいいのかが分かりにくい。計算もややこしいので、投げ出したくなのも当然に思えます。

でも、書かずに提出してしまうのはもったいない!

保険料控除を正しく申告すれば、所得税や住民税の負担を減らすことができます。実際、生命保険や地震保険、iDeCoなどの掛金を支払っている方なら、年間で数千円から数万円の節税効果が期待できます

この記事では、2025年の年末調整で必要になる保険料控除申告書の書き方を、初めて記入する方にも分かりやすく、ステップバイステップで解説していきます。

最近は電子で年末調整を提出させる企業も増えてきているようです。紙での提出でも電子での提出でも、必要な情報は同じなので、本質的な理解を得られるような記事を心がけています。

難しそうに見える専門用語も、一つひとつ丁寧に説明しますので、安心してついてきてください。

この記事を読み終える頃には、「なんだ、意外と簡単じゃないか」と思えるはずです。それでは、一緒に見ていきましょう。

扶養控除申告書の書き方についてはこの記事を読んでください。

目次

保険料控除の基本

保険料控除は4つのカテゴリーに分類される

年末調整で申告できる保険料控除は、大きく分けて4つのカテゴリーに分類されています。

  1. 生命保険料控除
  2. 地震保険料控除
  3. 社会保険料控除
  4. 小規模企業共済等掛金控除

カテゴリーごとに対象となる保険料や控除額の計算方法が異なります。
まずは、この4つのカテゴリーを把握することが重要です。

1.生命保険料控除 (最難関)

最大の難関となるカテゴリーです。

このカテゴリーはさらに3つの区分に分かれています。

  • 一般の生命保険料(一般)
  • 介護医療保険料(介護医療)
  • 個人年金保険料(個人年金)

さらに、一般の生命保険と個人年金には新制度と旧制度がありますので、まず送られてきた控除証明書を理解するのが難しい。(各保険会社で書き方がバラバラですので、誰かに聞いたりネットで調べるのも難しい。)
そのうえで計算式や上限額などの問題もあるので、見ただけで理解しろというのは無理があります。

ここを正しく書けている人は本当に少ない・・・。でも頑張りましょう

控除証明書を見ながら書くことになるのですが、控除証明書は保険会社ごとに書き方がバラバラですので、誰かに聞いたり、ネットで調べたりするのが難しくなります。

『生命保険料控除』欄を記入する際は、次の順番で確認を進めてください。

①生命保険料控除の証明書を集める

生命保険料控除を受けるためには、控除証明書が必要になります。
証明書は10月~11月頃に郵送で送られてくるか、電子データで取得することになります。

控除証明書には、多くの場合、『〇〇年分 生命保険料控除証明書』とわかりやすいタイトルがついています。

『共済掛金払込証明書』などのタイトルの場合もありますので注意が必要です。しっかり封筒や同封の書類も確認しましょう。

控除を受けられるのは、その保険料を負担している本人のみです。親が自分のために掛けてくれている生命保険について、控除証明書を貰っても控除を受けることはできません。
逆に、自分が親のためにかけた生命保険であっても、その保険料を負担しているのが自分であれば控除を受けることができます。

②一般の生命保険、介護医療保険、個人年金保険の区分を確認

上で書いた通り、生命保険料は3つの区分に分かれており、年末調整の書類を作成する際も記入欄が異なります。

控除証明書には必ずどれに当たるかが記載されているので探してください。

名称は次のように省略されていることがあります。

  • 一般の生命保険 ⇒ 一般
  • 介護医療保険  ⇒ 介護医療、介護
  • 個人年金保険  ⇒ 個人年金、年金

書面のタイトル部分や、金額が書かれている欄に書かれていることが多いです。

一枚の控除証明書に、複数の区分の控除が記載されていることもあります。その場合は、書かれているすべての区分の控除を受けることができます。(例外もあるかも)

中には、個人年金保険という商品名でありながら、一般の生命保険料の区分になる保険もあります。注意深く確認して下さい。

➂一般の生命保険と個人年金保険について、新制度か旧制度かを確認する

一般の生命保険と個人年金保険には、新制度と旧制度の2つが存在します。介護医療保険は、新制度になってから追加された区分ですので、旧制度は存在しません。

新制度と旧制度の違いによって計算式や控除の上限額が異なりますので、ここを間違えると間違った控除額で年末調整がされてしまうかもしれません。慎重に確認してください。

ほとんどの場合、『適用制度』として新制度か旧制度かの明記があります

一般の生命保険(新)、(旧)個人年金のような書き方をされているケースもあります。

④控除額を確認する

控除証明書には、多くの金額が書かれているケースがあります。

控除申告書は10月頃に発行されますので、9月頃までの情報で作成されます。年末調整や確定申告は12月末までの情報が必要なのですが、発行時には確定していません。

そのため、9月時点の実績額と、12月末まで払い続けた場合の想定額が(ご参考)として書かれているケースが多いです。その参考の額が申告額となります。

年内に中途解約する場合を除き、12月末まで払い続けた場合の想定額が、控除対象の額となります。

割戻金や配当金がある場合は、12月まで払い続けた場合の想定額からその額を引いた額が控除対象の額となります。
実際の支払額とは一致しないケースが多いので、必ず控除証明書の額を確認して書いてください。

⑤控除額を計算しよう

新制度と旧制度は計算式が異なります。分けて計算し、計算結果の合計が控除額となります。

実際の控除額については、下の5つに分けて、それぞれの合計額をまず計算します。

  • 一般の生命保険料(新制度)
  • 一般の生命保険料(旧制度)
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料(新制度)
  • 個人年金保険料(旧制度)

①➂④は上の表、②⑤は下の表に当てはめて計算します。
次に、①と②、④と⑤を合算し、3つの区分ごとの控除額を計算します。その際、各区分ごとの上限額が決まっていますので注意してください。

控除を受けられる上限額は、旧制度のみの場合は5万円新制度のみ、または新旧合算の場合は4万円となります。(介護医療保険は新制度扱い)

最後に、3つの区分の控除額を合算します。この額が生命保険料控除の額となります。(生命保険料控除の額の上限は12万円となります

①➂④の年間の支払保険料額控除額の計算式
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料等 × 1/2 + 10,000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料等 × 1/4 + 20,000円
80,000円超一律 40,000円
②⑤の年間の支払保険料額控除額の計算式
25,000円以下支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下支払保険料等 × 1/2 + 12,500円
50,000円超 100,000円以下支払保険料等 × 1/4 + 25,000円
100,000円超一律 50,000円

上限額が決まっていますので、3つの区分ごとに8万円(旧制度なら10万円)を超えた分は記載しなくてもかまいません。

紙面ではなく、電子による提出の場合は、正確に金額を入力さえすれば自動的に計算してくれる場合が多いと思います。控除証明書の電子データを取得し連携させた場合は入力ミスもないでしょう。ですが、漏れの可能性などはありますので、念のためこの計算式を使って確認しておくことをお勧めします。

2.地震保険料控除

地震保険料控除は、①地震保険料と、②旧長期損害保険料の2つに分類されます。

①の地震保険は、地震や噴火、津波による損害を補償する地震保険の保険料が対象です。火災保険だけでは対象になりませんので注意してください。

②旧長期損害保険とは、2006年12月31日までに締結され、2007年以降に変更されていない長期の火災保険のことで、2007年以降に契約、変更した火災保険は対象になりません。

この2つの分類の見分け方としては、保険期間を確認するのが簡単で間違いにくいと思います。

地震保険は最長の契約期間が5年と決まっていますので。控除証明書に、約期間が1~5年と書かれていれば①の地震保険です。6年以上になっていれば②の旧長期災害保険となります。(実際には2006年から現在まで残っている契約ですので、19~36年となっているはずです)

①の地震保険については、5万円を上限として、控除証明書の額がそのまま控除額となります。

②の旧長期損害保険料については、1万円までは記載されている額がそのまま控除、10,000円の場合は【支払額×1/2 + 5,000円】が控除額となり、1.5万円が上限となります。

①と②の両方がある場合の上限額は5万円となります。

地震保険料控除の対象となる保険は、自分が保険料を負担していて、自分か生計を一にする配偶者や親族が居住している家屋に対する地震保険です。

3.社会保険料控除

 国民年金や国民健康保険など、公的な社会保険の保険料が対象です。転職期間中に自分で納付した分や、生計を一にする親族の分を支払った場合などが該当します。

対象となる社会保険料には、以下のようなものがあります。

  • 国民年金の保険料
  • 国民健康保険の保険料
  • 後期高齢者医療保険の保険料
  • 介護保険の保険料
  • 国民年金基金の掛金
  • 厚生年金保険の保険料(任意継続分)

年末調整を受ける会社の給与から引かれている厚生年金や健康保険料については、記入する必要はありません。

よくあるのが、大学生の子供の国民年金を親が支払っているケースです。

20歳になると、学生でも国民年金への加入が義務付けられます。学生納付特例制度を利用せず、親が代わりに保険料を納付している場合、その保険料も親の社会保険料控除の対象になります。

国民年金の保険料を申告する場合、控除証明書の添付が必須です。もし紛失した場合は、最寄りの年金事務所に連絡するか、ねんきんネットからダウンロードすることもできます。電子申告の場合は、ダウンロードしたPDFをそのままアップロードできるので便利ですね。

国民年金については控除証明書の提出が必要ですが、健康保険料については、控除証明書の提出は不要です。

また、年内に転職した人の場合、前の会社で払っていた厚生年金や健康保険料についても、社会保険料控除に記入する必要はありません。(源泉徴収票の提出は必要です。)

社会保険料控除については、払った額がそのまま控除対象となります。

4.小規模企業共済等掛金控除

iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金、小規模企業共済、心身障碍者扶養共済制度の掛金が対象です。

それぞれ掛金の払込証明書が必要となりますので、大切に保管しておいてください。

iDeCoは、月々の掛金が全額控除されるため、節税効果がとても高いことで知られています。月2万円を積み立てている方なら、年間24万円が所得から差し引かれるわけです。

小規模企業共済等掛金控除は、支払った金額の全額が控除されます。

企業型確定拠出年金の場合の注意点

企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している方で、マッチング拠出をしている場合、給与天引きされているケースがほとんどです。この場合、会社が年末調整で自動的に処理してくれますので、申告書への記入は不要です。

ただし、企業型DCでも給与天引き以外の方法で拠出している場合は、申告が必要になることがあります。不明な点は、会社の人事部や経理部に確認してみてください。

紙の申告書と電子申告:あなたの会社はどっち?

保険料控除の申告方法は、大きく分けて2つあります。従来の紙の申告書による方法と、最近増えている電子申告システムによる方法です。

紙の申告書による方法

これは昔からある伝統的な方法です。会社から配布される紙の申告書に手書きで記入し、控除証明書を添付して提出します。

メリット

  • 手元で確認しながらじっくり記入できる
  • パソコンやスマートフォンが不要
  • 記入内容を手元に控えとして残せる

デメリット

  • 手書きなので記入ミスが起こりやすい
  • 計算を自分で行う必要がある
  • 控除証明書の原本を提出する必要がある
  • 提出時に会社に持参または郵送する手間がかかる

電子申告システムによる方法

クラウド型の年末調整システムやWeb申告システムを使って、オンラインで申告する方法です。SmartHR、freee人事労務、マネーフォワードクラウド給与、国税局の提供するe-年調など、様々なシステムがあります。

メリット

  • 自動計算機能で計算ミスが防げる
  • 入力エラーをシステムがチェックしてくれる
  • 控除証明書をスマホで撮影してアップロードできる
  • 場所や時間を選ばず、スマホからでも申告できる
  • 提出後の修正も簡単
  • 過去のデータが自動で引き継がれることが多い

デメリット

  • システムの操作に慣れる必要がある
  • インターネット環境が必要
  • 控除証明書の撮影やスキャンが必要

あなたの会社はどちらの方式?

会社によって採用している方式は異なります。最近は大企業を中心に電子申告システムを導入する会社が増えていますが、中小企業ではまだ紙の申告書が主流のところも多いようです。

会社から配布される案内や、人事部からのお知らせをよく確認してください。電子申告システムを導入している場合は、システムのログイン方法やアクセス先のURLが案内されているはずです。

電子申告でも控除証明書は必要

注意したいのは、電子申告システムを使う場合でも、控除証明書は必要だということです。

スマートフォンで撮影した画像やスキャンしたPDFファイルをアップロードすればOKです。電子データで提出できない場合は、原本の郵送が必要となります。

控除証明書の電子データ化について

最近では、多くの保険会社が控除証明書の電子データ化に対応しています。

マイページにログインすると、控除証明書をPDFでダウンロードできたり、XMLファイル(電子データ)で取得できたりします。XMLファイルは、多くの年末調整システムに直接取り込めるので、入力の手間が大幅に省けます。

主要な生命保険会社や損害保険会社なら対応している可能性が高いので、会社が年末調整の電子申告を導入している場合は一度確認してみてください。

電子データのメリット

  • 紙の証明書を紛失する心配がない
  • 必要なときにすぐダウンロードできる
  • XMLファイルなら自動入力が可能
  • 郵送を待つ必要がない

マイナポータル連携による控除証明書の一括取得について

マイナポータル連携とは?

2020年から、このマイナポータルを通じて控除証明書を一括で取得できる機能が始まりました。これを「マイナポータル連携」と呼びます。

マイナポータルとは、政府が運営するオンラインサービスで、マイナンバーカードを使って様々な行政手続きができるシステムです。

利用の準備と使い方の流れについて

マイナポータル連携を利用するには、以下の準備が必要です

  1. マイナンバーカードの取得
  2. マイナポータルアプリ(スマートフォン)またはICカードリーダー(パソコン)
  3. 会社の年末調整システムが対応しているかどうかを確認する

使い方の流れは以下の通りです。

  1. マイナポータルにログイン
  2. 「控除証明書等の一括取得」を選択
  3. 取得したい証明書を選んで一括ダウンロード
  4. 会社の年末調整システムに連携またはアップロード

マイナポータル連携のメリット

メリット1:複数の証明書をまとめて取得
 保険会社ごとにバラバラに届く控除証明書を、マイナポータルで一括ダウンロードできます。郵送を待つ必要もありません。

メリット2:紛失の心配がない
 紙の証明書は紛失しがちですが、マイナポータルならいつでも再ダウンロード可能です。

メリット3:年末調整システムに直接連携
 会社が対応している電子申告システムなら、マイナポータルから取得したデータを直接取り込めます。手入力の手間が大幅に省けるため、入力ミスも防げます。

対応している控除証明書

マイナポータル連携で取得できる主な控除証明書は以下の通りです。

  • 生命保険料控除証明書(対応保険会社のみ)
  • 地震保険料控除証明書(対応保険会社のみ)
  • 国民年金保険料控除証明書
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金払込証明書

ただし、すべての保険会社が対応しているわけではありません。大手の保険会社は順次対応を進めていますが、中小の保険会社や共済組合などは未対応のケースもあります。

注意点

  • 初回はマイナポータルの登録が必要で、少し手間がかかります
  • すべての保険会社が対応しているわけではないため、未対応の保険については従来通り紙またはPDFでの提出が必要です
  • 会社の年末調整システムがマイナポータル連携に対応していない場合、メリットが限定的です

こんな人におすすめ

  • 複数の生命保険や個人年金に加入している方
  • 毎年控除証明書を紛失しがちな方
  • デジタルでの手続きに慣れている方
  • マイナンバーカードを既に持っている方

マイナポータル連携は、最初の設定こそ少し手間がかかりますが、一度設定してしまえば翌年以降の年末調整が格段に楽になります。特に複数の保険に加入している方には大きなメリットがあるでしょう。

会社の年末調整システムが対応しているかどうか、まずは確認してみてください。

控除証明書を紛失してしまった場合

控除証明書は10月中旬ごろから届き始めますので、いざ年末調整の書類を書こうとした際に、「あれ、証明書どこにいった?」というのはあるあるです。

各保険会社に連絡すれば、1週間から2週間程度で再発行してもらえることが多いです。お客様センターに電話するか、会社によってはWebサイトから再発行の手続きができることもあります。

急ぎの場合は、WebサイトからPDF版をダウンロードできる保険会社も増えています。印刷して提出すれば問題ありませんので、まずは確認してみてください。

提出期限ぎりぎりに紛失に気付くと間に合わないケースも出てくるので、余裕を持って準備を始めることをおすすめします。

提出前の最終チェックリスト:これで安心

申告書を提出する前に、最後にもう一度確認しておきましょう。このチェックリストを使えば、記入漏れや添付忘れを防ぐことができますよ。

基本情報の確認

□ 氏名が正しく記入されている
□ 住所が正しく記入されている
□ 勤務先の名称が記入されている

記入内容の確認

□ 各保険料控除の金額が証明書と一致している
□ 生命保険料控除で新制度・旧制度の区分が正しい
□ 保険金受取人が本人または配偶者、親族になっている
□ 控除額の計算が正しい
□ 合計控除額が記入されている

添付書類の確認

□ 生命保険料控除証明書を添付している
□ 地震保険料控除証明書を添付している
□ 小規模企業共済等掛金払込証明書を添付している
□ 国民年金保険料控除証明書を添付している

最終確認

□ 記入漏れがないか全体を見直す
□ 控え用に申告書のコピーを取る

よくある質問(FAQ):疑問を解決しましょう

Q1:配偶者名義の保険料も控除できますか?

A:あなたが実際に保険料を支払っている場合は控除できます。

配偶者名義の保険でも、あなたが保険料を支払っている場合は、あなたの所得から控除できます。ただし、保険金受取人があなた、配偶者、またはその他の親族である必要があります。

生計を一にしている家族であれば、誰が契約者であっても、実際に保険料を支払っている人の控除として申告できるのがポイントです。

Q2:年の途中で保険を解約した場合、その年の保険料は控除できますか?

A:できます。

解約した年に実際に支払った保険料が控除の対象になります。保険会社から送られてくる控除証明書には、解約までの支払額が記載されていますので、その金額を申告してください。

ただし、解約返戻金を受け取った場合でも、支払った保険料の控除は受けられます。受け取った返戻金は別途、一時所得として課税対象になることがありますが、それは確定申告で処理します。

Q3:共働き夫婦の場合、どちらが控除を受けたほうが得ですか?

A:基本的には、所得(年収)が高い方が申告したほうが節税効果は大きくなります。

なぜなら、所得税は累進課税といって、所得が高いほど税率も高くなる仕組みだからです。同じ控除額でも、税率が高い人のほうが戻ってくる税金が多くなります。

例えば、5万円の控除がある場合、

  • 所得税率10%の人:5万円×10%=5,000円の節税
  • 所得税率20%の人:5万円×20%=1万円の節税

住民税の税率は10%で変わりませんが、所得税の税率には差がありますので、所得が高い方が申告したほうが有利です。(ただし上限があるので注意)

Q4:国民年金を過去の分もまとめて支払った場合、全額控除できますか?

A:はい、その年に実際に支払った金額がすべて控除の対象になります。

過去の未納分をまとめて支払った場合、支払った年の所得控除として申告できます。たとえ5年分をまとめて支払ったとしても、支払った年に全額控除されます。

大きな節税効果が得られますので、忘れずに申告しましょう。

Q5:電子申告システムで入力したデータは、翌年も引き継がれますか?

A:システムによって異なりますが、多くの場合、基本情報や保険会社名などが引き継がれます。

電子申告システムの便利な点の一つが、過去のデータを活用できることです。保険会社名や契約者名などは年によって変わらないことが多いので、金額だけ更新すればよいケースも多いです。

ただし、保険を解約した場合や新しく加入した場合は、その都度、追加や削除が必要になります。

翌年の年末調整では、前年のデータを確認して、変更がないか必ずチェックしてから提出してください。

Q6:控除証明書をPDFでもらった場合、それをそのまま使えますか?

A:はい、使えます。

保険会社のマイページからダウンロードしたPDF版の控除証明書も、正式な証明書として認められています。

紙の申告書の場合は、PDFを印刷して添付すればOKです。電子申告の場合は、PDFをそのままアップロードできます。

ただし、会社によっては原本を求める場合もあるかもしれませんので、会社の指示に従ってください。

用語解説

年末調整でよく出てくる用語を、分かりやすく解説します。

年末調整

1年間の所得税を精算する手続きのことです。

会社員の場合、毎月の給与から所得税が天引きされていますよね。これは概算で計算された金額なので、年末に正確な税額を計算し直して、払いすぎた税金を返してもらったり、不足分を追加で納めたりします。

多くの場合、控除を申告することで税金が戻ってくることが多いですね。

所得控除

税金を計算する際に、所得から差し引くことができる金額のことです。

例えば、年収500万円の人が30万円の所得控除を受けた場合、課税対象になる所得は470万円になります。所得が減れば、それに応じて税金も安くなる仕組みです。

保険料控除は、この所得控除の一種です。他にも、配偶者控除、扶養控除、基礎控除などがあります。

控除証明書

保険会社や年金機構などが発行する、保険料や掛金の支払額を証明する書類のことです。

毎年10月から11月頃に郵送されてきます。この証明書がないと控除を受けられませんので、届いたら大切に保管しておきましょう。

最近は、マイページからPDFやXMLファイルでダウンロードできる保険会社も増えています。

新制度・旧制度

生命保険料控除の中の、一般の生命保険と個人年金保険における区分のことです。

平成24年1月1日を境に制度が変わり、控除額の計算方法が変わりました。平成24年1月1日以降に契約した保険は「新制度」、それ以前の契約は「旧制度」として扱われます。

控除証明書には必ず「新制度」か「旧制度」か明記されていますので、確認してから申告書に記入してください。

生計を一にする

日常生活の資金を共有している状態のことです。

同居している家族はもちろん、別居していても仕送りをしている大学生の子供なども「生計を一にする」と見なされます。

生計を一にする家族の社会保険料を自分が支払っている場合、自分の社会保険料控除として申告できます。

給与所得者の保険料控除申告書

年末調整で会社に提出する申告書の一つです。

生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除を申告するための用紙です。国税庁が定めた統一様式で、会社から配布されます。

電子申告の場合は、紙の申告書の代わりに、オンラインシステムで入力します。

XMLファイル

データを構造化して記述するファイル形式の一つです。

一部の保険会社では、控除証明書をXMLファイル形式で発行してくれるサービスがあります。このファイルを年末調整システムに直接取り込むと、手入力せずに自動的にデータが反映されるため、とても便利です。

マイページからダウンロードできる保険会社が増えていますので、確認してみてください。

まとめ:正確な申告で賢く節税しましょう

4つの保険料控除をおさらい

改めて、4つの保険料控除を整理しておきましょう。

1. 生命保険料控除 3つの区分(一般・介護医療・個人年金)に分かれていて、それぞれ最大4万円(旧制度は5万円)、合計で最大12万円の控除が受けられます。新制度と旧制度があり、計算方法が異なりますので注意してください。

2. 地震保険料控除 地震保険の保険料が対象で、最大5万円の控除が受けられます。計算はシンプルで、5万円以下なら全額、5万円超なら一律5万円が控除額です。

3. 社会保険料控除 国民年金や国民健康保険など、公的な社会保険料が対象です。支払った金額の全額が控除され、上限もありません。家族の分も忘れずに申告しましょう。

4. 小規模企業共済等掛金控除 iDeCoや小規模企業共済の掛金が対象です。こちらも支払った金額の全額が控除され、上限がありません。節税効果が高い控除ですね。

正確な申告のための3つのポイント

保険料控除を正確に申告するためのポイントは、以下の3つです。

ポイント1:証明書をしっかり確認する
 控除証明書に記載されている金額や区分を、よく確認してから申告書に転記しましょう。特に生命保険料控除は、新制度と旧制度の区分を間違えないように注意してください。

ポイント2:証明書を必ず添付またはアップロードする
 紙の申告書なら証明書を添付、電子申告なら電子データやPDF、画像をアップロードしてください。証明書がないと控除を受けられません。

ポイント3:早めに準備を始める
 年末は何かと忙しい時期です。証明書が届いたら早めに作業を始めましょう。分からないことがあれば、早めに会社の年末調整担当者に質問しましょう。

あなたの節税効果はどのくらい?

正確に申告すれば、年間で数千円から数万円の税金が戻ってきます。

例えば、生命保険に年間4万円、地震保険に年間2万円、iDeCoに月2万円(年間24万円)を支払っている会社員の方なら、合計で約30万円の所得控除が受けられます。所得税率10%、住民税率10%とすると、年間で約6万円の節税になる計算です。

6万円あれば、家族で美味しいディナーに行けますし、ちょっとした旅行だって楽しめますよね。この節税効果を考えれば、少し時間をかけて正確に申告する価値は十分にあると思いませんか。

年末調整を完了させましょう

この記事を読んで、「思ったより簡単そうだ」と感じていただけたら嬉しいです。

最初は複雑に見える申告書も、紙でも電子でも、一つひとつのステップを着実に進めていけば、きちんと完成させることができます。そして何より、正確に申告することで、あなたが納めるべき適正な税金になり、払いすぎた税金が戻ってくるのです。

特に電子申告システムは、これからますます普及していくでしょう。最初の年は大変でしょうが、正しくデータを作成できれば、そのデータが生かせるのでぐっと来年以降はぐっと楽に申告できるようになります。

ぜひこの記事を参考にして、しっかり完了させてくださいね。

それでは、良い年末調整を。

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