従業員の退職や転勤があった際に必要な「給与所得者異動届出書」。eLTAXを使えば、郵送よりも手軽に、そして確実に提出できます。
この記事では、初めての方でも迷わず手続きができるよう、DL版・Web版それぞれの操作手順を分かりやすく解説します。
eLTAXの2つのバージョン
eLTAXには、利用シーンに応じて選べる2つのバージョンがあります。
PCdesk(DL版) – パソコンにソフトをインストールして使用
PCdesk(Web版) – ブラウザから直接アクセスして使用
どちらを選ぶかは、提出する件数や作業環境によって決めましょう。
事前準備:必要なもの
提出作業を始める前に、以下の3つを準備しておきましょう。
1. eLTAXの利用者ID・パスワード
まだeLTAXの利用登録をしていない方は、先に「利用届出」の手続きを済ませてください。
利用届出の際、申告税目の選択では「個人都道府県民税・市区町村民税(特別徴収)」を必ず選択します。普通徴収の給与支払報告書を提出する場合も、この税目を選びます。
2. 電子証明書
書類を送信する際には、法人代表者などの電子署名が必要です。ICカードリーダライタ、またはスマートフォンでの読み取り準備を整えておきましょう。
3. 異動内容が分かる資料
以下の情報を手元に用意しておくと、スムーズに入力できます。
- 従業員の退職日または異動日
- 一括徴収するかどうか
- 転勤の場合は新しい勤務先の情報(所在地、名称、連絡先)
PCdesk(DL版)での提出手順
こんな方におすすめ
- 複数の従業員の異動をまとめて処理したい
- 給与ソフトとの連携機能を活用したい
- データをじっくり作成・確認したい
ステップ1:申告データの作成
PCdesk(DL版)を起動してログインします。
メインメニューから「申告に関する手続き」を選択し、「申告データの作成」→「新規作成」と進みます。
税目で「個人住民税」を選択し、申告種別で「給与所得者異動届出」を選びます。
ステップ2:必要事項の入力
提出先の市区町村を選択したら、画面の案内に従って情報を入力していきます。
特別徴収義務者(会社)の情報 会社名、所在地、法人番号などを入力します。
給与所得者(従業員)の情報 氏名、住所、マイナンバーを正確に入力します。
異動事由と徴収方法の選択 退職、転勤などの異動事由を選び、未徴収税額の処理方法を入力します。
- 特別徴収継続:転勤先で引き続き給与天引き
- 一括徴収:最後の給与から残税額を一括で徴収
- 普通徴収:本人が直接納付
ステップ3:署名と送信
作成したデータを選択し、「署名付与」を実行します。電子証明書の準備が整っていることを確認してください。
メインメニューの「送信」から、署名を付与したデータを選択してポータルセンタへ送信すれば完了です。
CSV一括取込も可能
給与ソフトなどで作成したCSVファイルをPCdeskに取り込むことで、大量の異動届出を効率的に処理できます。eLTAXの公式サイトには「給与所得者異動届出書CSVデータ作成支援ツール」も用意されており、エラーチェックも容易に行えます。
PCdesk(Web版)での提出手順
こんな方におすすめ
- ソフトのインストールが不要なブラウザ版を使いたい
- 1名~数名程度の少人数分を手軽に済ませたい
- Mac環境で作業したい
ステップ1:Web版へアクセス
eLTAX公式サイトから「PCdesk Web版」にログインします。
メインメニューの「申請・届出の作成」をクリックします。
ステップ2:手続きの検索と選択
提出先の自治体を選択します。
手続き一覧から「給与所得者異動届出」を検索して選択します。
注意点:Web版では「申告」メニューではなく、「申請・届出」メニューに含まれていることが多いので、探す場所に注意してください。
ステップ3:入力と送信
ブラウザ上の入力フォームに、必要事項を直接入力していきます。
内容を確認したら、電子署名を付与して「送信」ボタンを押します。
DL版とWeb版、どちらを選ぶ?
Web版のメリット
- ソフトのインストール不要で、すぐに使える
- パソコン環境を選ばない(Mac対応)
- 少人数分なら操作が軽快
DL版のメリット
- 大量のデータを効率的に処理できる
- CSV取込機能で給与ソフトと連携可能
- ネットワーク切断時もデータが保存される
一般的には、少人数ならWeb版、複数人数や定期的な利用ならDL版がおすすめです。
提出後に必ず確認すべきこと
受付完了メッセージの確認
送信後、必ず「メッセージボックス」を確認してください。「受付完了」の通知が届いていれば、自治体への届出は無事に受理されています。
エラーメッセージが届いた場合は、内容を確認して再提出しましょう。
提出期限に注意
給与所得者異動届出書の提出期限は、異動があった月の翌月10日までです。
例えば、7月31日に退職した従業員の届出書は、8月10日が提出期限となります。
提出が遅れると、次のような問題が発生します。
- 従業員への納税通知書の送付が遅れる
- 本人に一度に多額の税金の支払い義務が生じる
- 特別徴収義務者に督促状が送られる可能性がある
期限を過ぎないよう、退職・異動の予定が分かったら早めに手続きを進めましょう。
一括徴収の義務期間に要注意
退職時期によって、住民税の徴収方法に違いがあります。
1月1日~4月30日に退職する場合
この期間に退職する従業員については、本人の意思に関わらず一括徴収が義務付けられています。
最後の給与または退職手当から、5月分までの残税額を必ず一括徴収してください。
ただし、最後の給与支給額が未徴収税額に満たない場合など、やむを得ない理由がある場合は普通徴収への切り替えも可能です。
5月1日~5月31日に退職する場合
5月は年度の最終月のため、通常通り5月の給与から住民税を徴収します。特別な手続きは不要です。
6月1日~12月31日に退職する場合
この期間の退職者については、本人からの申し出があった場合のみ一括徴収ができます。
申し出がない場合は、普通徴収に切り替わり、本人が市区町村から送付される納税通知書で納付することになります。
転勤・転職で特別徴収を継続する場合
従業員が転勤や転職で別の会社に移り、引き続き特別徴収(給与天引き)を希望する場合の手順です。
- 前勤務先が異動届出書の上段を記入
- 新勤務先に書類を引き継ぐ(本人経由または直接送付)
- 新勤務先が下段の情報を記入
- 新勤務先から従業員の1月1日現在の住所地の市区町村へ提出
マイナンバーの取扱いに注意 転勤・転職で特別徴収を継続する場合、従業員のマイナンバーは前勤務先では記入せず、新勤務先で本人から提供を受けて記入します。
よくある質問
Q. DL版とWeb版、どちらがおすすめですか?
A. 1~2名程度の少人数であればWeb版が手軽です。複数人を定期的に処理する場合や、給与ソフトとの連携を活用したい場合はDL版をおすすめします。
Q. 電子署名は毎回必要ですか?
A. はい、送信のたびに電子署名が必要です。ICカードリーダの接続や電子証明書の有効期限を事前に確認しておくとスムーズです。
Q. 提出先はどこですか?
A. 従業員の当該年度1月1日現在の住所地の市区町村です。年度をまたいで住所が変わった場合は、両方の市区町村への提出が必要になることもあります。
Q. 税額が0円の従業員も届出が必要ですか?
A. はい、必要です。今後徴収すべき税額がない方や、税額が0円の方であっても、異動があった場合は届出書を提出してください。
まとめ
eLTAXでの給与所得者異動届出書の提出は、慣れてしまえば郵送よりもずっと効率的です。
- 提出するのは異動月の翌月10日まで
- 1~4月退職は一括徴収が義務
- 少人数ならWeb版、複数人ならDL版が便利
- 送信後は必ずメッセージボックスで受付完了を確認
もし操作中に分からないことがあれば、eLTAXのヘルプデスクや、提出先の市区町村の税務課に問い合わせることもできます。
この記事が、初めてのeLTAX利用をスムーズに進める一助となれば幸いです。
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