【2025年版】年末調整の書き方を解説➂特定親族特別控除とか基礎控除ってなに?

  • URLをコピーしました!

会社勤めをしていると、新しい年を迎えるのに避けては通れない年末調整。毎年、書類を見るたびに憂鬱になっていませんか?

特に、2025年(令和7年)の年末調整はかなり大きな改正があります。いつもと書類の内容が変わっていますので、戸惑われた方も多いでしょう。

扶養控除の『103万円の壁』が『123万円の壁』に改正されたことは大きなニュースになりましたので、ピンとくるかと思います。

でも、新設された、特定親族特別控除の内容を把握していますか?

2025年と2026年限定で基礎控除が段階的に増額になっていることを知っていますか?

特定親族特別控除は、最大63万円もの控除を受けることができるので、申告が漏れると大きな損をしてしまいます。基礎控除申告書を間違えると、あとから追加で税金を払うことになるかもしれません。

基礎控除申告書と特定親族特別控除申告書は、右上に『基・配・特・所』と書かれた用紙で行います。

他に、配偶者控除等申告書と、所得金額調整控除申告書も同じ用紙です。
正式な名称は『給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書』と言います。(もう少し何とかならなかったのかな?)

  • どんな控除が追加されたの?
  • 全部の控除の書き方も教えて
  • わたしはどこを書けばいいの?

この記事では、『基・配・特・所』の書類について、書き方と控除の内容を丁寧に解説します。

『扶養控除等(異動)申告書』と『保険料控除申告書』については、別の記事で解説していますので、そちらも合わせてご覧ください。

目次

年末調整とは?まずは基本と変更点を理解しよう

ひとつずつ詳しく見ていく前に、まずは年末調整の全体像を理解しておきましょう。

年末調整が必要な理由

毎月の給与から天引きされている所得税は、実は「仮の金額」なのです。会社は毎月、あなたの給与額に応じて税額表を使って所得税を計算していますが、これはあくまで概算です。

所得税は1年間の総収入をもとに計算する必要があるので、年内のすべての給与と賞与の額が確定するまでは正しい額が計算できません。

控除のための情報も年末まで確定しません。年の途中で扶養家族が増えたり減ったりすることもあります。(お子さんが生まれたり、配偶者が働き始めたりするケース)生命保険料や地震保険料、住宅ローン控除などは、年末調整の時に初めて申告するものです。

そこで年末に1年間の給与総額と控除額が確定したタイミングで、正しい年税額を計算し直すのです。これが年末調整です。多く払いすぎていた税金は還付され、足りなければ追加で徴収されます。

2025年の大きな変更点

今年の年末調整では、特に注目すべき変更点が3つあります。

1.扶養親族等の所得要件の改正

扶養控除を受けるための要件のひとつである『所得48万円以下』が『所得58万円以下』に改正されました。

これまでは所得48万円以下(給与収入のみの場合103万円以下)が扶養控除を受ける要件とされてきましたが、令和7年からは、所得58万円以下(給与収入のみの場合123万円以下)となります。

『103万円の壁』は、基礎控除10万円アップと給与所得控除10万円アップの影響によって、『123万円の壁』となりました。

2. 基礎控除額の引き上げ

これまで最高48万円だった基礎控除が、58万円~95万円に引き上げられました。

合計所得金額(給与所得控除後)令和7・8年令和9年以降
132万円以下95万円
132万円~336万円以下88万円58万円
336万円~489万円以下68万円
489万円~655万円以下63万円
655万円~2350万円以下58万円

給与収入だけの場合、年収約160万円以下の人は、所得税が非課税になります。
令和7年と8年に関しては、所得に応じて段階的に基礎控除が増加するので、年収655万円以下の人は減税効果が大きくなります。

特に令和7・8年に関しては、所得に応じた基礎控除額の区分が多いので、基礎控除申告書に正確に記入することが重要になります!

3. 給与所得控除の見直し

給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました

これにより、給与収入が162万5千円以下の方は、控除額が10万円増えることになります。
162万5千円~190万円以下の人も控除額が少し増えます。

残念ながら、年収が190万円を超える人は無関係です。

4. 特定親族特別控除の新設

19歳以上23歳未満の大学生年代の扶養親族について、収入が『123万円の壁』を超えていても、段階的に控除を受けられるようになりました。

収入要件が緩和されたため、これまで収入オーバーで控除を受けられなかった人についても、控除の対象となる可能性がありますので、必ずチェックしましょう。

年収123万円超188万円以下の大学生などが対象となり、最大63万円の控除が受けられます。
金額が細かく分かれていますので、特定親族特定控除申告書には正確な金額を記入することが求められます。

合計所得金額(給与だけの場合の収入額)特定親族特別控除額
58万円~85万円以下(123万円~150万円以下)63万円
85万円~90万円以下(150万円~155万円以下)61万円
90万円~95万円以下(155万円~160万円以下)51万円
95万円~100万円以下(160万円~165万円以下)41万円
100万円~105万円以下(165万円~170万円以下)31万円
105万円~110万円以下(170万円~175万円以下)21万円
110万円~115万円以下(175万円~180万円以下)11万円
115万円~120万円以下(180万円~185万円以下)6万円
120万円~123万円以下(185万円~188万円以下)3万円

年末調整で提出する3枚の用紙・『扶』『保』『基・配・特・所』

国税庁の作成している年末調整用の申告書は3枚に分かれています。(以前は2枚だったのですが、令和になってからどんどん複雑になってきています……)

  • (扶)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • (保)給与所得者の保険料控除申告書
  • (基・配・特・所)給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

この記事で解説するのは、3番の『基・配・特・所』の申告書についてです正式名称が長すぎるので、1と2については別の記事をご覧ください。

この『基・配・特・所』の用紙は、その名の通り、4つの申告書が1枚に集約されています。
これを順番に説明していきます。

1.基礎控除申告書の内容と書き方

基礎控除申告書とは

基礎控除申告書は、すべての人が提出する必要がある申告書です。

ここでの申告内容によって、基礎控除の額が決定します。配偶者控除(配偶者特別控除)の額にも影響します。

今年1年間(1月から12月まで)の所得の見込み額を記入します。見込み額は、12月の給与や賞与も含めた年間の所得の合計の予測額になります。

基礎控除額は、下の表のように、所得に応じて金額が変わります。特に令和7・8年は細かく分かれているので注意が必要です。

合計所得金額(給与所得控除後)令和7・8年令和9年以降
132万円以下95万円
132万円~336万円以下88万円58万円
336万円~489万円以下68万円
489万円~655万円以下63万円
655万円~2350万円以下58万円

配偶者控除(配偶者特別控除)は、合計所得が900万円を越えると減額となり、1,000万円を越えると受けられなくなります。

「給与所得なんて会社が一番正確な数字を把握してるだろう! 書く必要があるか?」と思われるかもしれません。

その会社の給与以外に収入のない人ならその通りなのですが、ほかの収入があるなら注意が必要です。今年転職した人、副業をしている人、老齢年金を受給している人、不動産収入がある人など、その会社での給与以外の収入がある場合は、対象となるすべての所得を合算した額から基礎控除額を決定する必要があるからです。

所得税のかからない収入や、分離課税(源泉徴収される利息や配当金など)される収入は記入する必要がありません。

NISA口座で生じた投資の利益、源泉徴収有りの特別口座で生じた投資の利益、配当金、利子、失業給付、傷病手当金、遺族年金、障害年金、遺産相続、保険金、児童手当、育児休業給付金、など

年末調整を受ける会社からの収入のみの人は、おおざっぱな見込み書いても問題ないと思います。多くの会社は年末までに確定した給与額をもって基礎控除を決定すると思いますので、基礎控除申告書に書かれた【所得の見積額】で基礎控除額を利用する会社は少ないでしょう。(まあ、念のためなるべく正確な数字を書いた方が無難です)

基礎控除申告書の記入の流れ

ステップ1:給与所得の金額を計算する

記入において、重要なのは所得金額を記入することです。

所得金額とは、給与収入から給与所得控除を引いた額です。雑所得や事業所得、不動産所得などは、収入から必要経費を引いた額が所得となります。

給与収入については、給与所得控除額を差し引いて、給与所得の金額を計算します。給与所得控除額は収入に応じて自動的に決まる控除で、例えば年収400万円の方なら124万円、年収600万円の方なら164万円といった具合です。

具体例を見てみましょう。年収が500万円の方の場合、給与所得控除額は144万円となります。したがって、給与所得の金額は356万円(500万円-144万円)となります。

給与収入額から、所得金額を計算する方法は、『年末調整の書類の書き方を徹底解説①』の記事内の計算ツールで簡単に計算できますのでご利用ください。(対象者は配偶者・大学生世代・その他のどれを選んでも同じです。)

ステップ2:給与以外の所得を確認する

不動産所得や事業所得など、給与以外の所得がある場合は、その金額も記入します。ほとんどの会社員の方は給与所得のみですので、ほかの所得がなければ、この欄は空欄で構いません。

雑所得や事業所得、不動産所得などの場合は、必要経費を引いた額が所得額になります。年末までの見込みを可能な限り正確な見積額を算出し、記入してください。

特に令和7・8年に関しては、所得に応じた基礎控除の額が細かく分かれていますので、少しのズレによって基礎控除額に違いが生じ、あとから追加の納税を求められるかもしれません。くれぐれもご注意ください。

ステップ3:合計所得金額の見積額を計算する

給与所得と給与以外の所得を合計したものが、あなたの【合計所得金額の見積額】です。この金額によって、受けられる基礎控除額が決まります。

ステップ4:基礎控除額を確認する

合計所得金額に応じて、以下のように基礎控除額が決まります。

  • 132万円以下:95万円
  • 132万円超336万円以下:88万円
  • 336万円超489万円以下:68万円
  • 489万円超655万円以下:63万円
  • 655万円超2,350万円以下:58万円
  • 2,350万円超:段階的に減少

ステップ3で計算した【合計所得金額の見積額】を【控除額の計算】の表に当てはめて、【区分Ⅰ】と【基礎控除の額】を記入します。

【区分Ⅰ】は、配偶者控除(配偶者特別控除)の額を決定する際に使用する区分です。
【基礎控除の額】は、あなたの基礎控除額になります。

よくある疑問と注意点

「12月の給与がまだ確定していないのに、どうやって年収を計算すればいいの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。これは見込み額で構いません。11月までの給与実績から12月分を予想して、年間総額を計算してください。

また、「給与所得控除額の計算が難しい」という声もよく聞きます。会社から配られる記載例には、収入金額に応じた給与所得控除額の一覧表が付いていることが多いので、それを参考にすると良いでしょう。

基礎控除は今年から大幅に増額されていますので、必ず記入して控除を受けるようにしましょう。記入漏れがあると、本来受けられる控除が受けられず、税金を多く払うことになってしまいます。

2.配偶者控除等申告書

配偶者控除等申告書とは:配偶者控除と配偶者特別控除の違い

配偶者がいる人が、配偶者控除または配偶者特別控除を受けるための申告書です。
配偶者がいる方は、この申告書を記入することで、配偶者控除または配偶者特別控除を受けることができます。配偶者の所得によって、受けられる控除の種類と金額が変わります。

まず、配偶者控除と配偶者特別控除の違いを理解しましょう。

配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は123万円以下)の場合に受けられる控除です。控除額は最大38万円で、配偶者が70歳以上の場合は最大48万円になります。

配偶者特別控除は、配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下(給与収入のみの場合は123万円超201万6千円未満)の場合に受けられる控除です。配偶者の所得が増えるにつれて、控除額が段階的に減少していきます。

生計を一にする(同じ財布から生活費が出ている)配偶者の所得が133万円以下(給与収入のみの場合は201万6千円以下)の場合は記入することで控除を受けることができます。

配偶者控除等申告書の書き方

ステップ1:配偶者の情報を記入する

【配偶者の氏名等】欄を記入します。
【配偶者の個人番号(マイナンバー)】については、記入が不要な場合もあるので、会社からの指示に従ってください。
【非居住者】とは日本国外で生活している配偶者のことです。配偶者が非居住者である場合は、【非居住者である配偶者】欄に〇をつけ、【生計を一にする事実】欄に、生活費や教育費を送金している金額を記入して下さい。合わせて送金証明書等の添付が必要です。

ステップ2:配偶者の所得を確認する

【配偶者の本年度の合計所得金額の見積額の計算】欄については、基礎控除申告書と同じで、所得金額の記入が重要となります。
(所得に応じて控除額が細かく分かれていますので、可能な限り正確な見積もり額を記入してください)

ステップ3:控除額を確認する

所得金額と配偶者の年齢をもとに【判定】の表から【区分Ⅱ】を判定します。

基礎控除申告書で判定した【区分Ⅰ】と【区分Ⅱ】を【控除額の計算】の表に当てはめて、控除額を確認し、右側の【配偶者控除の額】又は【配偶者特別控除の額】のどちらかに金額を記入します。

よくある間違いと注意点

配偶者控除等申告書でよくある間違いは、配偶者の収入を正しく把握していないケースです。特に、配偶者が複数のパート先で働いている場合、すべての収入を合計する必要があります。

また、「配偶者が社会保険に加入しているから、配偶者控除は受けられない」と誤解している方もいますが、これは間違いです。社会保険の扶養と税金の扶養は別物です。配偶者の所得が要件を満たしていれば、社会保険に加入していても配偶者控除は受けられます。

なお、見込み額で記入した金額が、実際の金額と大きく違っていた場合、早めに会社に申し出れば、訂正することも可能です。

3.特定親族特別控除申告書(2025年新設)

特定親族特別控除申告書とは

特定親族特別控除を受けるために必要な申告書です。
2025年から新しく追加されたのが、この特定親族特別控除です。大学生のお子さんなどがアルバイトで収入を得ている場合に、大きな控除が受けられる可能性があります。

令和6年までは、扶養親族の所得が一定額を超えると扶養控除が受けられなくなり、親の税負担が大きく増えていました。しかし、大学生のお子さんがアルバイトで学費や生活費の一部を稼いでいるケースは多く、そのような家庭の負担を軽減するために、特定親族特別控除が新設されました。

所得が58万円~123万円以下(給与収入のみの場合は123万円~188万円以下)の、19歳~23歳未満の扶養親族について、特定親族特別控除を受けることができます。

対象となる「特定親族」とは

特定親族に該当するのは、以下のすべての条件を満たす人です。

  1. あなたと生計を一にしている
  2. 年齢が19歳以上23歳未満(大学に通っている必要はない)
  3. 合計所得金額が58万円~123万円以下(給与収入のみの場合は123万円~188万円以下)
  4. 配偶者ではない
  5. 青色事業専従者や白色事業専従者ではない

特定親族とは19歳~22歳の扶養親族のことで、特定親族については、控除額が25万円(特定扶養親族控除)アップの63万円となっています。
令和7年の改正によって、所得58万円(給与収入のみの場合は123万円)を超えても、段階的に控除が受けられるようになりました。それを特定親族特別控除、と呼びます。

ちなみに、扶養控除等(異動)申告書に記載する必要があるのは、所得95万円以下(給与収入160万円以下)の場合です。扶養控除申告書と特定親族特別控除申告書の両方に書かなくてはならない場合と、どちらか一方だけでいい場合がありますので注意してください。

特定親族特別控除の額は、所得に応じて段階的に減っていき、123万円(給与収入の場合は188万円)を超えると受けられなくなります。

基礎控除申告書の記入の流れ

ステップ1:特定親族の情報を記入する

【特定親族の氏名等】欄を記入します。
【特定親族の個人番号(マイナンバー)】については、記入が不要な場合もあるので、会社からの指示に従ってください。
【続柄】は「子」などと記入します。

ステップ2:特定親族の所得金額を計算する

特定親族の収入から、合計所得金額を計算します。

【特定親族の本年中の合計所得金額の見積額】欄については、基礎控除申告書と同じで、所得金額の記入が重要となります。
(所得に応じて控除額が細かく分かれていますので、可能な限り正確な見積もり額を記入してください)

ステップ3:控除額を確認する

特定親族の合計所得金額に応じて、以下のように控除額が決まります。確認した控除額を【特定親族特別控除の額】欄に記入してください。

合計所得金額(給与だけの場合の収入額)特定親族特別控除額
58万円~85万円以下(123万円~150万円以下)63万円
85万円~90万円以下(150万円~155万円以下)61万円
90万円~95万円以下(155万円~160万円以下)51万円
95万円~100万円以下(160万円~165万円以下)41万円
100万円~105万円以下(165万円~170万円以下)31万円
105万円~110万円以下(170万円~175万円以下)21万円
110万円~115万円以下(175万円~180万円以下)11万円
115万円~120万円以下(180万円~185万円以下)6万円
120万円~123万円以下(185万円~188万円以下)3万円

4.所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除申告書とは

所得金額調整控除は、年収850万円を超える人が対象で、23歳未満の扶養親族がいる場合などに使う申告書です。最大15万円の控除が受けられます。

給与収入が850万円未満の人は記入する必要がありません。

所得金額調整控除は、年収850万円を超える人のうち、次のいずれかに該当する場合に受けられます。

  1. 本人が特別障害者である
  2. 23歳未満の扶養親族がいる
  3. 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる

控除額は、次の計算式で求めます。

(給与収入-850万円)×10%(最高15万円)

所得金額調整控除申告書の書き方

ステップ1:該当する要件にチェックする

上記の3つの要件のうち、該当するものすべてにチェックを入れます。複数該当する場合は、すべてにチェックを入れて構いません。

ステップ2:扶養親族等の情報を記入する

23歳未満の扶養親族がいる場合は、その方の氏名、続柄、生年月日などを記入します。

ステップ3:控除額を計算する

例えば、年収900万円で23歳未満の扶養親族が1人いる場合、控除額は次のようになります。

(900万円-850万円)×10%=5万円

年収1,200万円の場合は、次のようになります。

(1,000万円-850万円)×10%=15万円(上限)

共働き夫婦の場合の注意点

共働きの夫婦で、両方とも年収850万円を超える場合、同じ子どもについて両親とも所得金額調整控除を受けることができます。これは、扶養控除とは異なる点です。

扶養控除は、同じ子どもについて両親のうち一方しか受けられませんが、所得金額調整控除は両親とも受けられるのです。

例えば、夫の年収が900万円、妻の年収が950万円で、5歳の子どもが1人いる場合、夫も妻もそれぞれ所得金額調整控除を受けることができます。この場合、世帯全体では大きな税負担軽減となります。

各申告書を書く際の共通の注意点

マイナンバーの記入について

各申告書には、本人や配偶者、扶養親族のマイナンバー(個人番号)を記入する欄があります。ただし、会社が従業員のマイナンバーを適切に管理している場合、別途マイナンバーを提出していれば記入を省略できることがあります。

会社がどのように指示しているかを確認してください。

見込み額と確定額の違い

年末調整の申告書は、通常11月頃に記入しますので、12月の給与や賞与が確定していないことがあります。その場合、見込み額で記入して構いません。

ただし、実際の金額と見込み額が大きく異なった場合は、会社の年末調整担当者に連絡してください。翌年1月中に申し出れば、年末調整のやり直しができる場合があります。

訂正する場合

記入を間違えた場合は、二重線で消して正しい内容を書き直してください。修正液や修正テープの使用は避けましょう。

大幅な訂正が必要な場合は、新しい用紙に書き直すことをお勧めします。会社によっては予備の用紙を用意していることもありますので、確認してみてください。

提出期限

年末調整の申告書は、会社が定める期限までに必ず提出しましょう。期限を過ぎると、年末調整を受けられず、自分で確定申告をしなければならないことがあります。

多くの会社では11月末から12月上旬を期限としていますので、早めに準備を始めることが大切です。

分からないことは確認する

記入方法が分からない場合は、会社の人事・総務担当者に確認しましょう。多くの会社では、記入例や説明会を用意しています。

また、国税庁のホームページには「年末調整がよくわかるページ」があり、記入例や動画での説明が掲載されていますので、活用してみてください。

まとめ:年末調整で損をしないために

年末調整は、会社が行ってくれる「簡易確定申告」のようなものです。正しく申告することで、払いすぎた税金が還付されたり、税負担が軽減されたりします。

令和7年は、基礎控除の引き上げや特定親族特別控除の新設など、大きな改正がありました。これらの変更により、多くの方が税負担の軽減を受けられる可能性があります。

特に、大学生のお子さんがアルバイトをしている場合等は、特定親族特別控除を忘れずに申告しましょう。この控除を受けるか受けないかで、年間の税額が数万円も変わることがあります。

年末調整は一見複雑に見えますが、一つ一つの項目を丁寧に確認していけば、決して難しいものではありません。この記事で説明した内容を参考に、自信を持って年末調整の書類を記入してください。

分からないことがあれば、一人で悩まず、会社の担当者や税務署に相談することも大切です。正しく申告して、あなたの権利である控除をしっかりと受けましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次